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20080307 Fri
「乳と卵」 緑子像 

「乳と卵」 緑子像 

乳と卵乳と卵
(2008/02/22)
川上 未映子

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「乳と卵」。
サンデー毎日で中野翠さんが褒めてたのを思い出して書店で手にとってみたらおもしろくてすいすい読めそうだったので買ってきました。

読みながら半ばトランス状態になっていきそうなちょっと不思議な文体。でもちゃんと話の内容はわかるしリズムがいいから読んでいて心地よいです。あざといとかは感じない。文の感じは笙野頼子さんにちょっと共通するものを感じました。まあ、これは私の少ない小説体験の中から言っているのですが。でも例えば他に読んだことのある山田詠美さんとか篠田節子さんとかと比べると、このお二人が似てるといってもいいかなと思います。

物語の語り部は東京で独り暮らししている女性。そして豊胸手術を受けに大阪から上京してくる姉とその娘。この女の子は10歳で、なぜか口を閉ざして筆談でしかコミュニケーションをとりません。出来事としてはそんなに物凄いことが起こるわけでもなく、上京してくる母子もこの物語の時点では問題を抱えているけど普通の範囲。でも誠実に丁寧に書いてあるので読み応えがありました。三人ともよく表現されているのですが、私は特にこの緑子という10歳の女の子がすごくよかったなあ。家族の少ない心細い感じとか色々抱え込んで自分の中で必死に考えている感じとか。私は両親と祖母という四人家族で育って緑子の母一人子一人より家族のメンバーとしてはずっと手厚かったのに、それでもこの緑子の心細い不安は覚えがあった。

物語の語り部である妹は語り部であるから読者はこの人の内面のつぶやきを聞きながら読み進める。そんな中に時たま緑子の書き付けているノートが挿入されるから、緑子の内面もわかる。唯一、豊胸をしに上京してきたというお姉さんの内面は直接には語られない。このお姉さんの行動も服装もみずぼらしいヤンママみたいな感じで反感をかう印象なんだけど、そのうちになんとなく元々は地味で静かな人なのに、なんか人生のもろもろでこうなって、で、無理してこういう派手な感じを装ってるんじゃないかなということがわかってくる。もともとの地味で静かな自分をこうやって守ってるんじゃないかなとも思う。もちろん、クドクドと語られるわけじゃなく妹さんの語りからなんとなくそうじゃないかな~とさりげなく思わせる感じです。

最後の山場ではカタルシスを感じ、暖かい涙が出てきました。話の流れが自然です。短いお話ということもあって、読んでいてだれたり退屈するところもありませんでした。お話の作りは奇をてらうことのない正統派だと思います。

読みながらイメージしていた緑子像を描いてみました。

乳と卵-緑子

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「乳と卵」川上未映子

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