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20090814 Fri
「七輪で出来るアメリカ料理」序文 Hibachi cookery in the American manner 

「七輪で出来るアメリカ料理」序文 Hibachi cookery in the American manner 

「七輪で出来るアメリカ料理」の序文です。
著者の友人だというリチャード・エイチ・ラーシュ(Richard H.Larsh)さんが文を寄せています。
戦後あたり、昭和20年代30年代くらいの日本に住むアメリカ人の生活の雰囲気がうかがえておもしろいです。

今の私たちは当時の日本人よりも、当時のアメリカ人の方が生活感覚や食生活が近いので、現代人が突然当時にタイムスリップしたら、こんな感じで食事作りに奮闘するのかな・・・なんて思いました。

マヨネーズとか生クリーム、スパイスとか、けっこう手に入りにくそうな食材が出てくるんですが、当時の人はどこで手に入れていたんでしょうね?明治屋あたりにでも行ってたのかな。

そのままだと読みにくいので、適当に段落入れたり漢字を直したりしてます。
長くなるので、読まれる方は右下の「READ MORE..」をクリックして下さい。

***************************

七輪の上で、アメリカ式の料理を作ることは、この本が世に出るまでは外国人にも日本人にも難しいことであった。ともかく、それを我々少数の者は、やり遂げたのである。―幾度もディナーを作りそこなったり、指に火傷をしたり、煙で目を痛くしたり、時には全く計量を放棄したりしながら。

冷え切った朝食を出して外国人を失望させておきながら、そのお客達の狼狽振りが理解できなかった経験のある日本の料理人が、どれ程いる事であろう。又、海辺や山の別荘で七輪料理を試みた挙句、失望のあまり遂に思い止って、家から用意してきた食物を冷たいままで食べねばならなかった外国人の数も相当あるであろう。

けれども、それは、もう過去のことになった。エングラー氏の本があれば、日本人も外国人も、これからはアメリカ式の食事を七輪で作って食べられるからである。

*****

特に積極的な美食家としてではなく、ただ作ってもらった料理を鑑賞し味わった者として、私はこの本に収められた殆ど全部の料理を、美味しく思った。私はその後の美食漁りの五年間の最初に、アメリカンクラブで、その美味しい料理を知った。(そのクラブは、アメリカ軍の軍人以外の雇人のために最初に東京にできたクラブで東京會舘の中にあった。そのアメリカンクラブが後に改組されてからは、東京會舘はユニオンクラブと改定されている)。その当時、私はアメリカンクラブの「黄金の間」で出される美味しい料理を受け持っている人の名前さえも知らなかった。私は多分世界中の料理法に精通した戦前派の日本の料理人がやっているのだろうと思っていた。

その後、私はアメリカンクラブの料理部の支配人がジョージ・エングラーという謙譲な気取らぬアメリカ人である事を知った。私を彼に紹介してくれたのは、今ではもう名前も忘れてしまった友人であるが、彼には一生感謝している。それ以後私は引き続きジョージの料理をご馳走になっている。

と言うことは、それ以来私はアメリカンクラブで食事をするばかりではなく、ジョージの家に度々招かれて、もっと珍しい料理を御馳走になっているからである。私は信じられぬほど風変わりな或る日曜日の朝食を忘れることができない。

そのときの献立は「ブラディ・メリース」で始められたが、その料理というのは、極ありふれたトマト・ジュースに適量のウォッカ(ロシヤの火酒)と炒り玉子を加えて甘美な飲み物にしたものであった。然し、炒り玉子とは!また、彼はこれより以前に、味覚に於いても、色彩においても風味のあるトラフル(松露の類)を取り寄せて、玉子料理に取り入れてたので、以前には味わえなかったような異国情緒が玉子の味に加わった。玉子をこんなに上手に料理sちあひとは今までなかったと思う。

*****

しばらくする中に、ジョージの名声は広まって、彼の作る料理のためには、地球の果てまでも彼についてゆこうとする熱心な美食家の一群さえ出来た。ジョージが、もとのアメリカンクラブを去って、同名の今のクラブの支配人になったとき、我々は幸いにも・・・東京都内で、ほんの数ブロック動くだけですんだのだが・・・彼について行った。そして新しい料理場で彼の魂は更に飛躍し、彼の料理を食べるのは細腰の御夫人達には一層害があるということになった。

*****

「小型の宴会」と呼ばれるべきこれ等の料理の全ては、最新式の設備を持った料理場で用意されるものであるし、又、私としても、その様な料理が大きなオーブンや、唸りを立てている電気混合器、立ち並んだストーブや多くの助手なしに出来るものではないと思っていた。

ところが、数年前に彼の海岸にある別荘に招ばれた時、私の考えは間違っていたことを知った。

その家の台所は狭くて純日本式で、大抵の小さな日本家屋についている台所と変わりなかった。実際のところ、そこには四つの七輪しかなく、オーブンと名のつくものもなければ、ガス・ストーブ、電気ストーブもなく、ただ一つの小さな冷蔵庫、流し、それにテーブル一つが、10尺四方の台所にある道具の全部であった。

*****

私達が海岸に出かけるときにチラリと台所を見て、私は心の中で、今晩の御馳走は冷たいサンドウヰッチと多分何か缶詰の豆でも温めたものだろうと諦めていた。そして、その当時、私は七輪で火を起こす事だけでも、ずい分難しいものだという事を知らなかったが、それでも、それくらいの料理なら自分にも出来るだろうと思っていた。

ところが、午後も遅くなって、新鮮な空気と泳ぎで、お腹が空いてきた時、ジョージは入浴をすませ涼し気な顔に着換へまでして濱に現れ、「さあ、何時でも食事にするよ」と言った。

そこで我々はどやどやと家に戻り入浴をすませて、コクテルの前に坐った。私は二階の二つある部屋の一つに食卓があるのを知っていたし、又台所の方から、ただよってくる香りが、マルティニィ・カクテルで刺激された私の食欲には確かに温めた豆の香りではないという事に気づいていた。

*****

ジョージが食事だと知らせた時には、全くお腹がグウグウ云っていたに違いない。食卓の上に並べられた御馳走は、東京のジョージの、あの有名な食卓を偲ばせるものであった。温められた一皿には、炭火の上でソースをつけてとろとろに焙られたバーベキュース・スペアリブがのっていたし、他の皿には伊勢エビばかりか小海老や小さな、みづみづしい牡蠣―皆近くの漁村から運ばれたばかりの―の周囲に、ニューバーグ・ソースが、たっぷりかかっていた。又、熱いレイズン・ソースの中には焼いたハムが温かさうに見えたし、食卓の真中には盛り上げられたサラダの山がそびえていた。ナプキンの中には黄金色のトーストが包んであり、その傍には揚げたてのフレンチ・フライド・ポテトが籠に盛ってあった。スープの器には、柔らかい鶏肉を小さく裂いたものを浮かせたチキンスープが入っていた。そして電気仕掛のコーヒー・ポットは、美味しそうに湯気を立てていた。

*****

私はジョージが何か魔術を使ったのではないかと思った程であった。さもなければ、もっと単純に考えて東京にある彼のクラブの料理場から、これ等の食物を水陸両用のヘリコプターで運んだのではないかと。

然し、そうではなかった!これ等全ての食物、いや単なる食物ではなく一点の非の打ちどころもない様に味付けられた素晴らしい御馳走-は、ジョージとたった一人の女中さんが、あの狭い台所で四つの七輪の上で作ったものであった。

*****

それ以来、辺鄙な場所で素晴らしいアメリカ料理に舌鼓を打つ喜びにも馴れっこになった。何故なら、私は度々ジョージの別荘で御馳走になったからである。又私は彼と一緒に、方々の日本のホテルに行き、ジョージがそこの台所で料理するのを、呆気にとられて見つめている日本の料理人の仲間に加わった。或時は彼の東京の家で、ジョージが「ステーキ・アドバダ」を作るのに驚きの目を瞠った。何故なら、あらゆる種類のストーブや焙器、オーブンを持っているのに、彼は、ステーキを裏庭に持ち出して、そこで、よくおこった炭火で焙る為に、二つの小さな七輪の上に置いていたからである。

日本人、外国人を問わず、又、二重になった電気カマドを持っていようと、或いはその代わりに、二つの小さい七輪を持っていようと、ともかく、本書に収められた料理なら、どれでも作ることができる。そして、もしこの本の著者が持っているような料理の才能をお餅の方が本書の料理を試みられたなら、その料理は正に神に捧げるにふさわしいものとなるであろうし、又、私のやうに料理には素人の方にとっても、まづ、これ以上、行き届いた料理本はないであろう。



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